会社の資本金が少ないデメリット4選!起業に失敗しない資本金の目安を解説

会社を設立するには、資本金の準備が必要です。

資本金とは会社を立ち上げる際に株主が会社に入れるお金のことで、会社が動くための運転資金です。
通常、株主が資金を準備しますが、経営者(社長)と株主が同じであれば経営者が準備します。

それでは資本金の額はいくらが良いのでしょうか?
弊社のお客様の会社設立に関するご相談でも、資本金をいくらにするか悩まれている方が多いです。

なぜかと言うと、現在の会社法では資本金の額は自由に決めることができるからです。

以前の制度には最低資本金制度(会社設立の際に必要な資本金の最低金額を定めた制度)がありました。
そのため会社を設立するための資本金額として、株式会社は1,000万円、有限会社は300万円と最低額が定められていました。

この制度は2005年に廃止され、現在では資本金が1円でも会社を設立できます。(有限会社は新規に設立することができなくなりました)

資本金の最低額

2023年現在、資本金1円でも会社設立が可能

会社の設立時にかかる費用はなるべく抑えたいものです。
だからと言って資本金が1円で設立しても良いのでしょうか。

この記事では、会社設立にあたって資本金をいくらにすればいいか、また資本金が少ない場合のデメリットなどについて解説します。
資本金の額について迷われている方はぜひ参考にしてくださいね。

目次

資本金が少ないデメリット

会社を設立したら、なるべく早く事業をスタートしたいですよね。
しかし資本金が少ないことが理由で、事業の立ち上げがスムーズに進まない可能性があります。

私、税理士の香西が過去に創業のお手伝いをさせていただいた経験から、次の4つデメリットが考えられます。

資本金が少ないデメリット4選
  1. 銀行口座を作ることができない(時間がかかる)
  2. 決算書上、債務超過になる可能性が高くなる
  3. 社会的信用が得られない
  4. 許認可の財産的基礎要件を満たせない

それぞれのデメリットについて解説していきます。

希望する銀行の口座開設ができない(時間がかかる)

会社を設立して事業を始める場合、取引先からの売上金の入金や取引先への支払いのために銀行口座を準備します。
また、日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合も、入金口座として銀行口座が必要です(日本政策金融公庫は銀行ではないため、口座を作ることができません)。

そのため、銀行口座は早く作りたいですよね。
しかし、資本金の額が少ないと、銀行口座の作成に時間がかかってしまう(または口座開設を断られる)可能性があります。

感覚的ですが、私の過去の事例から資本金が50万円未満の会社に多いように感じます。(もちろん資本金の他にも、会社形態(合同会社)や、本店所在地、信用情報等にもよるため、一概に資本金が50万円未満だからダメというわけではありません)

そのため弊社では開業するお客様に向け、スムーズな事業開始のために、最低でも100万円以上の資本金を準備することをおすすめしています。

債務超過になる可能性が高くなる

1期目は事業を始める準備期間が含まれるため、思うように利益が出ず、赤字決算になってしまう可能性が高いです。
赤字決算だけなら良いのですが、資本金の額によっては赤字が原因で債務超過になってしまうかもしれません。

債務超過とは、会社の資産よりも負債の方が多い状態(資産<負債)で、会社の純資産(資本金と繰越利益の合計)の金額がマイナスになっている状態のことをいいます。

債務超過とは?

債務超過とは、会社の資産よりも負債の方が多い状態(資産<負債)のこと。
債務超過の状態では金融機関の評価が悪く、融資の審査に落ちてしまう可能性があるため、債務超過は可能な限り避けたいです。

1期目が100万円の赤字だったと仮定します。
資本金が50万円の場合、1期目の貸借対照表の純資産の金額は△50万円(=資本金50万円-赤字100万円)のため債務超過になります。
一方で資本金が300万円であったとしたら、純資産の金額は200万円(=資本金300万円ー赤字100万円)のため、赤字決算ですが債務超過にはなっていません。

つまり資本金の額が少ないと、少しの赤字でも債務超過になってしまうリスクが高まるということです。

また債務超過になってしまうと、銀行等の金融機関から見た会社への評価が低くなってしまいます。
さらに融資を申し込もうとしても、債務超過の決算書で判断されるため、新たに借り入れをすることが難しいかもしれません。

創業初期は資金繰りが厳しくなることが想定されますので、なるべく融資を受けられる状態にしておきたいです。
少しの赤字で債務超過になってしまわないために、資本金は多めに準備することをおすすめします。

社会的信用を得られにくい

資本金の額が少ないと、会社が社会的信用を得られにくいかもしれません。
1期目は決算書がない(決算が終わっていない)ため、資本金によって会社に対する周囲の信用が変わることが考えられます。

資本金の額が大きい場合、お金があるため支払い能力があるし、何かあっても会社が簡単に会社はつぶれません。
一方で、資本金が少ない場合、会社が持っているお金が少ないように見えるため、取引先は「ちゃんと支払ってもらえるのか?」「すぐに倒産しないか?」と考え、取引を避けられるかもしれません。

社会的信用が低いと仕事も増えません。
その結果、資金繰りが悪くなり、融資を受けようにも銀行からの信用も低く融資を受けることができない、という負のスパイラルに陥ってしまうかもしれません。

そうならないように信用がない創業期だからこそ、資本金は多めに準備しておきたいですね。

許認可の財産的基礎要件を満たせない

建設業であれば、なるべく早く建設業許可を取りたいと考えている方もいるでしょう。
一般建設業の許可を受けるためには財産的基礎要件を満たさなければいけません。

自己資本500万円以上(貸借対照表の純資産の額が500万円以上)あれば財産的基礎要件を満たすことができます。
そのため、早く建設業を取るために最初から資本金を多く準備しておくとスムーズです。

資本金の目安

資本金は多ければ多いほど良いかというと、そうではありません。
資本金の金額次第では、税金が増えてしまいます。

例えば、資本金1,000万円以上で1期目から消費税を納めなければいけません。
さらに資本金が1,000万円超の場合には、地方税の均等割の区分が高くなります。

そのため、資本金は多すぎず少なすぎずのバランスが大事です。
会社の運転資金(売上の回収時期、仕入・外注の支払時期、従業員の有無など)によって準備すべき金額が変わるため、まずはどれくらい必要かを見積もりましょう。
そのうえで弊社では、300~500万円の資本金を準備することをおすすめしています。

まとめ

この記事では、下記の資本金が少ないデメリット4選について詳細に説明しました。

資本金が少ないデメリット4選
  1. 銀行口座を作ることができない(時間がかかる)
  2. 決算書上、債務超過になる可能性が高くなる
  3. 社会的信用が得られない
  4. 許認可の財産的基礎要件を満たせない

十分な資本金を準備するためには、継続的な貯蓄など計画的に進めなければならず、労力が必要です。
しかし、創業初期で最も大切なのはお金です。
お金が足りなくなったら会社は存続することができません。

安定した会社経営のため、スムーズな事業立ち上げのため、社会的信用のため、十分に資本金を準備することをおすすめします。

弊社の顧問契約(継続支援サポート)では、会社の財務状態・損益状況のご説明から経営に関する提案などを「分かりやすく」「丁寧に」お話させていただきます。
また会社設立や起業のお手伝いもさせていただいています。

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地域を問わず、オンライン面談で対応させていただいていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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