株式会社と合同会社のメリット・デメリットとは?【失敗しない会社設立】

一般的に会社と言えば株式会社を思い浮かべる方が多いと思いますが、会社の形態は株式会社以外にも様々あります。
2022年時点で、設立できる会社(社団法人等を除く)は次の4種類です。

設立できる会社形態
  • 株式会社
  • 合同会社
  • 合名会社
  • 合資会社

上記の4種類の会社形態のうち、選ばれやすいのは「株式会社」「合同会社」で、「合名会社」「合資会社」を設立される方は少ないです。
なぜなら、合名会社、合同会社の歴史はありますが、それぞれの会社の社員(出資者)の責任範囲が広く(合名会社は無限責任、合資会社は一部が無限責任)、もし会社が倒産してしまった場合などで出資者がすべて責任を負うことになります。
このように、合名会社、合資会社は非常にリスクが大きい会社形態になります。

そのため、これから新しく会社を設立するなら、株式会社、合同会社から選ぶようにしましょう。
株式会社、合同会社の出資者は、いずれも有限責任のため、同じように会社が倒産したとしても出資の範囲で責任が済みます。

この記事では、株式会社、合同会社それぞれの特徴、メリットデメリット、選ぶ際のポイントについてわかりやすく解説しています。
ぜひ参考にしてくださいね。

目次

株式会社と合同会社の違い

株式会社について知らない人は数少ないですが、一方で合同会社については知らない人が多く、株式会社より知名度がかなり低いです。
合同会社とは、会社法で新しく設けられた法人形態で、LLC(Limited Liability Company)とも呼ばれます。

それでは株式会社と合同会社それぞれでどのような違いがあるのでしょうか。
先に結論を申し上げると、それぞれ「所有と経営」「出資方法」「設立費用」などの違いがあります。
取り扱うことができる事業内容、税金対策などの節税メリットの面では違いがありません。

株式会社と合同会社の違いを次の表にまとめました。

上記のように、株式会社、合同会社で違いがありますが、どちらを選べば正解ということではありません。
それぞれの特徴やメリット、デメリットを理解したうえで、自分自身に合った形態を選びましょう。

次の章以降で、株式会社と合同会社のそれぞれのメリット、デメリットについて解説します。

株式会社のメリット・デメリット

まず株式会社に関するメリットとデメリットについて解説します。

株式会社のメリット
  • 社会的信用を得られやすい
  • 株を発行して資金調達を行なうことができる
株式会社のデメリット
  • 合同会社よりは設立にかかる費用が高い
  • 役員の任期がある

株式会社のメリット① 社会的信用を得られやすい

合同会社と比較した最も大きなメリットは、会社の社会的信用が得られやすいことです。

合同会社の存在を知らない人は多いですが、株式会社の存在を知らない人はまずいないでしょう。
「株式会社=ちゃんとした会社」というように、世間的に社会的認知度が高く良いイメージをもってもらいやすいため、新規顧客の開拓や従業員などの人材確保の面で合同会社より有利となります。

株式会社のメリット② 株を発行して資金調達を行なうことができる

株式会社の場合、新株を発行して他の株主から新たに出資を受けることが可能です。

合同会社の場合でも出資を受けることができますが、合同会社は「経営者(役員)=出資者」のため、新たに出資をした人も経営に参画することとなります。
一方で株式会社は、株式によって所有と経営が分離していますので、新たな出資者が経営に参画することはありません。

株式会社のデメリット① 合同会社よりは設立にかかる費用が高い

株式会社の場合、登録免許税は15万円~かかり、定款認証手数料も必要となります。
合同会社は登録免許税が安く、また定款認証が必要ないため、合同会社の方が会社設立コストが安いです。

株式会社のデメリット② 役員の任期がある

株式会社の取締役には任期があります。
現在の会社法では役員の任期を10年とすることができますが、それでも10年ごとに役員の重任登記が必要となります。
そのため、登記の手間や費用(登録免許税、司法書士報酬など)がかかってしまいます。

合同会社のメリット、デメリット

続いて合同会社のメリットとデメリットについて解説します。

合同会社のメリット
  • 株式会社よりも設立費用が安い
  • スピーディーな経営が可能
  • 役員の任期がない
合同会社のデメリット
  • 株式会社よりも知名度が低い
  • 銀行口座の開設ができない可能性がある

合同会社のメリット① 株式会社よりも設立費用が安い

合同会社では定款認証が不要のため、定款認証手数料5万円を節約することができます。
また登録免許税も株式会社では15万円~かかりますが、合同会社は6万円~です。
このように、合同会社は株式会社に比べ、設立にかかる初期費用を抑えることができます。

合同会社のメリット② スピーディーな経営が可能

経営者と出資者が一致しているため、経営者のみで決議ができます。
一方で株式会社では、役員と出資者が異なる(所有と経営が分離している)ため、会社の意思決定には株主総会の決議が必要となります。

合同会社のメリット③ 役員の任期がない

株式会社と違い、役員の任期がありません。
株式会社は最長でも10年ごとに役員の重任登記が必要ですが、合同会社はその必要がないため重任登記にかかる費用(登録免許税、司法書士報酬など)を抑えることができます。

合同会社のデメリット① 株式会社よりも知名度が低く信用を得られにくい

冒頭にも少しお話しましたが、株式会社は知っているけど合同会社は知らないという人が多く、合同会社は株式会社に比べて知名度が低いです。

最近では、アマゾンジャパン合同会社やグーグル合同会社のように、Amazon・Googleのような大手の日本法人が合同会社で運営されており、合同会社の知名度も上がってきました。

しかし、中小企業での取引においてはまだまだ数が少なく知名度は高くありません。
また費用を抑えて設立できるイメージが先行して、取引先からお金の面で不安を持たれることがあるかもしれません。

合同会社のデメリット② 銀行口座の開設ができない可能性がある

合同会社は株式会社と比べて、リーズナブルでスピーディに設立を進められることがメリットでした。
しかし株式会社より簡単に会社を設立できるため、少ない出資で設立し、その法人をマネーロンダリングなどに悪用するケースがあります。

そのため、金融機関は合同会社の銀行口座開設には特に注意しているようです。
私(税理士香西)が過去にお手伝いさせていただいた(出資額が少ない)合同会社は、銀行の口座開設に苦労されていました。

誤解がないように「合同会社=口座開設できない」というわけではありません。
出資の金額が少なかったり、本店所在地をバーチャルオフィスとしたり、信用低下の要因が重なった場合に口座開設が難航するかもしれないため、注意が必要ということです。

合同会社のデメリット③ 株式会社よりも資金調達方法が少ない

株式会社では新株の発行や、株式の譲渡ができるため、株式を上場して資金調達を行なうことができます。
一方で合同会社は株式がないため、上場して資金調達を行なうことができないため、資金調達の面ではデメリットがあります。

しかし中小企業の場合、上場まで考えている方は少ないでしょう。
また創業融資などの金融機関からの借入は、株式会社と同じように行なうことができますので、特筆上場できないからと言って資金調達に困ることはないでしょう。

おすすめは株式会社

前章までに株式会社、合同会社それぞれのメリットとデメリットについて説明しました。
これらの点をふまえて、弊社では、株式会社を設立することおすすめしています。

合同会社のメリットは設立にかかる費用のみ(重任登記の費用の違いもありますが小さい)で、その後の会社運営にかかるコストや節税のメリットは株式会社と変わりありません。
会社の将来に向けて長期的な視点で見れば、初期費用のコストメリットは小さいものです。
それよりは、合同会社で設立したことによる信用面の低さなどから会社の立ち上げや事業展開が遅れてしまうと、設立費用のメリット以上に大きなコストがかかってしまうかもしれません。

そのため、初期費用は多少かかりますが、会社の信用や社会的な認知度が大きい株式会社で開始することをおすすめしています。

まとめ

この記事では、会社を設立するなら株式会社、合同会社どちらが良いかということについて解説しました。

あらためて、株式会社と合同会社のメリット、デメリットは次のとおりです。

株式会社のメリット

  • 社会的信用を得られやすい
  • 株を発行して資金調達を行なうことができる

株式会社のデメリット

  • 合同会社よりは設立にかかる費用が高い
  • 役員の任期がある

合同会社のメリット

  • 株式会社よりも設立費用が安い
  • スピーディーな経営が可能
  • 役員の任期がない

合同会社のデメリット

  • 株式会社よりも知名度が低い
  • 銀行口座の開設ができない可能性がある

これらをふまえて、弊社では株式会社の設立をおすすめしています。
なぜなら株式会社の方が合同会社よりも早く軌道に乗れる可能性が高いからです。
起業・創業はスタートダッシュが大切。経営の初期リスクを最大限に小さくし、スピーディな事業開始を目指しましょう。

弊社の顧問契約(継続支援サポート)では、会社の財務状態・損益状況のご説明から経営に関する提案などを「分かりやすく」「丁寧に」お話させていただきます。
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