法人成りを考えている人、勤めている会社から独立を考えている人、皆さんに「早く会社を設立をしたい」とお考えだと思います。
個人事業主ではなく、法人として事業を始めるにはまず会社を設立します。
会社設立の登記では、難しい書類がたくさんで準備が大変です。
もし登記のプロである司法書士さんに登記手続きを依頼するのであれば、書類不備等で設立が遅れてしまうことはほぼないでしょう。
しかし司法書士さんが登記に関する書類を作るためにが、社長となるあなたが決めなければいけないことがたくさんあります。
登記事項(会社に関して登記する内容)や定款などの会社ごとに異なる部分は、自分自身で考えなければいけません。
これらの事項の決定が遅くなればなるほど会社の設立日は遅くなってしまいます。
この記事では、スムーズな会社設立のためにあらかじめ決めておくべきことについて分かりやすく解説しています。
会社設立に向けて準備している方、将来の独立を考えている方はぜひ参考にしてくださいね。
会社設立で準備しておくべきこと
会社を作るためには多くのことを決めたり、準備したりしなければいけません。
その中でも代表例として以下の9つを厳選しましたので、それぞれ解説していきます。
- 会社名(商号)を決める
- 事業目的を決める
- 本店所在地を決める
- 発起人(株主)を決める
- 役員を決める
- 資本金を決める
- 決算期を決める
- 設立日を決める
- 個人の印鑑登録を済ませる
① 会社名(商号)を決める
まず初めに会社の商号を決めます。
商号とは会社名のことで、株式会社や合同会社などの会社形態に関する言葉も含まれます。
商号は、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字、符号などを使用することができますが、一部使用できない文字や符号があるため注意が必要です。
また、同じ商号の会社が他にないかを念のため確認するようにしましょう。
仮に希望する商号の会社が他にあった場合、同一の住所かつ同じ名前でなければその商号の会社を設立することができます。
しかし近隣のエリアや、その商号が商標登録されている場合はトラブルになってしまうかもしれません。
国税庁の法人番号公表サイトの検索ページから調査することができますので、考えている会社名を検索してみましょう。
②事業目的を決める
事業目的とは、その会社がどのような仕事をするのかを明確にするものです。
定款には会社が行う事業として「事業目的」を記載しなければなりません。
とは言っても創業したばかりの現時点で考えている事業で将来まで見通すことは難しいでしょう。
もしかしたら将来的には事業拡大して別の事業を行っているかもしれません。
そのため将来的にやってみたい事業があれば、それらも事業目的を記載するようにしておきましょう。
後から、定款変更で目的を追加することができますが、変更時の登記や司法書士さんへの報酬でお金がかかってしまいます。
そのため、現時点でいつかはやりたいなぁと思っている事業があれ、事業目的に記載しておきましょう。
また事業目的が不適切な場合、融資の審査に影響があるため、よく考えて決めましょう。
③本店所在地を決める
本店所在地とは会社の住所のことで、原則として本店の所在地が納税地となります。
なお、会社の本店所在地は、所有する自宅でも賃貸物件でも構いません。
レンタルオフィスやバーチャルオフィスを本店所在地として登録することができます。
レンタルオフィスやバーチャルオフィスは初期費用などのコスト面や手軽さからとても魅力がありますが、弊社ではおすすめしておりません。
その理由は、銀行の口座開設の際に時間がかかる可能性があるためです。
私が過去にお手伝いさせていただいたお客様のうち、バーチャルオフィスを本店としたことで希望する信用金庫で口座開設を断られてしまいました。
複数の金融機関にあたってみましたが、どこもスムーズに事はすすみませんでした。
最終的には、本店に自宅に変更することでやっと口座開設にこぎつけることができました。
その際、金融機関の方にお話を伺ったところ、レンタルオフィスやバーチャルオフィス(特にバーチャルオフィス)については、口座開設に関して非常に厳しい目で見られるようです。
このようなリスクがあることを踏まえて、本店所在地をどうするか検討することをお勧めします。
④発起人(株主)を決める
発起人とは、会社を設立しようと思った人のことで、主に会社設立の準備について中心に進めている人が多いです。
簡単に言うと、発起人は株主の代表者のイメージです。
中小企業の場合、「経営者=株主」であることが多いため、経営者自身が発起人となることが一般的です。
⑤役員を決める
経営者は代表取締役になりますが、その他に役員が就任する予定の人がいる場合には創業時に役員となる人を決めます。
ただし、弊社では株主、役員とも経営者ご自身のみにすることをおすすめしています。
創業融資では役員の信用情報次第では融資を受けることができないため、代表取締役の信用情報が問題なくても、その他の役員の信用情報に問題がある場合は融資を受けられません。
経営者自身の信用情報は把握することができますが、他の人の信用情報まで正確に把握することは難しいでしょう。
そのため、創業時のリスクを減らすために役員は1人(経営者のみ)とすることをおすすめしています。
⑥資本金を決める
会社を設立するまでに資本金の払い込みを行う必要があります。
資本金とは株主が最初に会社に出資するお金のことで、会社が動くための運転資金となります。
資本金は1円でも可能です。
しかし資本金が少ない場合には、創業の際にいくつかのデメリットがあります。
事業を始めるまでの初期費用や直近の運転資金を見積もり、資本金の金額を決めるようにしましょう。
⑦決算期を決める
会社には一定期間(通常は1年間)の事業年度があり、決算期とは事業年度の締めの月のことをいいます。
決算期を選ぶ際には、閑散期を避けたり、資金繰りを踏まえたりなど、決算期を消えるうえで重要なポイントがあります。
会社の1年間の流れなどをふまえ、どの時期が最も良いかを考えて決めるようにしましょう。
⑧設立日を決める
設立日をいつにするか、事前に決めておきましょう。
登記の申請を行う日が会社設立日になります。
反対の言い方をすれば、もし設立日としたい日(ゾロ目、記念日など)がある場合は、その日までに登記申請を終わらせなければいけません。
その日に登記申請できないと、設立日は別の日になってしまいます。
設立日にこだわりがある場合は遅れないように準備を進めましょう。
⑨個人の印鑑登録を済ませる
会社設立の際には、発起人と役員個人の印鑑証明書が必要となります。
印鑑証明書とは、その個人の実印が本人自身のものに間違いないことを証明するための書類です。
印鑑証明書を発行するためには、事前にお住いの自治体に実印を登録しなければいけません。
もし実印の登録がまだの場合は、早めに印鑑登録を済ませておきましょう。
まとめ
この記事では、会社を設立するために決めること(準備すること)について解説しました。
会社を設立するためには、次のような準備が必要でした。
- 会社名(商号)を決める
- 事業目的を決める
- 本店所在地を決める
- 発起人(株主)を決める
- 役員を決める
- 資本金を決める
- 決算期を決める
- 設立日を決める
- 個人の印鑑登録を済ませる
やること盛りだくさんでボリュームがありますよね。
さらに会社名や決算期など、決める際に迷うこともたくさんあります。
スムーズに会社を設立して事業を開始するために、計画的に準備を進めておきましょう。
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