リフォーム会社(工務店)が粗利益を増やすためのポイントとは?

目次

質問

私はリフォーム会社(工務店)を経営する中小企業の社長です。
ありがたいことに仕事の現場は前年よりも多く、それに伴い売上も順調に増えています。
しかし一方で利益は売上のように伸びず、横ばいか悪いときは利益が減っているときもあります。

どうすれば利益を増やすことができるのでしょうか?
私のようなリフォーム会社が利益を増やすためのアドバイスをいただけたらありがたいです。

回答

仕事の現場が増え、売上も順調に増加しているというのは、とても良い状態です。
しかし利益が伸び悩んでいて、さらに減少してしまうという状況は早急に改善しなければいけません。

なぜなら売上が増加している状態では、お金の出も多くなるため、資金ショートなどの資金繰り悪化を招く可能性があるからです。

では、どのようにすれば利益を増やすことができるのでしょうか?
この記事では、リフォーム会社が利益を増やすための改善方法について解説します。
ぜひ参考にしてください。

リフォーム会社の売上と粗利益

「売上」と「粗利益」っていう言葉、よく聞きますよね。

経営を学ぶ上で「売上」と「粗利益」の違いを理解することはとても重要です。

「売上」とは、事業活動を通じて得られた全ての収入を指します。
例えば、リフォーム業の場合は、リフォーム工事の完了や設備の販売等を行って得たサービスの対価のことです。

一方「粗利益」とは、売上から原価を差し引いて残った額をいいます。

リフォーム会社での粗利益とは?

ではリフォーム会社にとっての「粗利益」とは何でしょうか。

リフォーム会社における粗利益とは、売上から、そのリフォームを提供するために直接かかった費用(資材・設備の仕入代、職人への外注費など)を引いたものをいいます。
粗利益は別の言い方で、「売上総利益」とも呼ばれます。

この粗利益がどれくらい残るかが非常に重要です。
見方を変えれば、粗利益が残らない仕事であれば、いくら仕事が増えても(売上が増えても)利益は減っていく一方であるということが言えます。

なお粗利益の計算方法は次のようになります。

粗利益の計算方法

粗利益(売上総利益) =売上高-売上原価(資材・設備の仕入代+職人への外注費)

粗利益率は次のように求めることができます。

粗利益率の計算方法

粗利益率 = 粗利益額/売上高 × 100

リフォーム会社における適正な粗利益とは?

事業を長く安定して継続していくためには、会社は利益を生み出さなければいけません。
なぜなら、仕事によって得たお金を使って、現場の資材を買ったり、現場で働く従業員や職人さんの報酬を支払う必要があるためです。

もし利益が出ない状態(お金の出が入りよりも多い状態)が続くと、どんどん出費がかさんでお金が足りなくなってしまいます。

そのためには、会社が事業を存続するためにいくら利益を出せばいいのか、利益目標の計画を立てましょう。

なお粗利益の目標は、リフォーム会社の場合は一般的に20%~30%が目安と言われます。
しかし、この数字だけを鵜呑みにして、自社の利益率は高い低いと判断するのは間違っています。

例えば、次のように会社の組織形態や仕事の受け方などの要因によって、必要な粗利益率は会社ごとに異なるからです。

  • 従業員として自社に職人を抱えているのか
  • 社長1人の会社で実作業はすべて外注の職人さんなのか
  • 現場の資材は自社で仕入れるのか
  • 元請けから支給されるのか
  • 新築の現場が多いのか
  • 中古・築古の現場が多いのか

そのため、自社の組織形態や仕事の受け方を整理し、そのうえでいくら利益が残れば会社として安全安心なのかを求めることから始めましょう。
それによって、あなたの会社の理想の粗利益率を見つけることができます。

リフォーム会社の利益率を改善するための方法とは?

次に、リフォーム会社が粗利益率を増やすための方法について解説していきます。
具体的には、次のような方法があります。

  • 案件ごとに利益管理をする(目標利益を設定する)
  • 安易に値下げをしない
  • 原価を抑えてコスト削減を図る

それぞれについて見ていきましょう。

案件ごとに原価管理をする(目標利益を設定する)

粗利益を増やすために最も大切なことは原価管理です。
原価とはリフォーム工事(売上)にかかる経費(仕入れや外注費)のことで、原価管理とは、文字通りその原価を管理することをいいます。

粗利益の計算式を再び見てみましょう。

粗利益の計算方法

粗利益(売上総利益) =売上高-売上原価(資材・設備の仕入代+職人への外注費)

上記の計算式から、売上原価を下げることができれば、粗利益が増えるということが分かります。
そのため、現場ごとに売上に対して原価がいくらかかったのかを把握することが大切です。

売上欲しさに多少利益が少ない案件を獲得することはよくあるでしょう。
しかし、そのような現場の割合が多くなってしまったり、利益の少ない現場で想定以上の原価が発生してしまったりすると、会社全体の利益も少なくなってしまいます。

そのため、案件ごとに利益がどれくらい出るのかを見積りましょう。
また終わった案件については、見積に対して実際の原価がいくらかかったのかを記録するようにしましょう。

そうすることで見積の精度向上や、原価増加のリスクを抑えることができます。

リフォーム会社の場合、大きい案件ばかりでなく小さい案件をこなすことが多いと思います。
この案件ごとの原価管理の積み重ねることが、会社に利益を残すために非常に大切だと言えます。

安易に値下げをしない

次に現場ごとに、単価が妥当か確認するようにしましょう。
リフォーム会社の特徴として、他社との相見積もりによってお客様への値下げが発生しやすいことがあげられます。

例えば、100万円の工事を受注するために10万円の値下げをします。
値下げがこの1件だけであれば良いのですが、このような値下げを月に3件行った場合、年間で36件(360万円)の値下げを行うことになります。

売上が3600万円で粗利益率が30%だった場合、値下げがない場合の粗利益額は1,080万円で、値下げをした場合は720万円(粗利益率20%)になります。

このように安易に値下げしてしまうと、利益率の低下によって資金繰りの悪化を招く危険性もあります。
そのため、利益を残したいなら安易に値下げをせず、むしろ単価を上げても受注できるように、サービスの質を高めることに取り組みましょう。

原価を抑えてコスト削減を図る

最後は、原価を抑えることによるコスト削減を行うことも大切です。

資材関係の仕入れ先の見直しや職人さんへの仕事の依頼など、どこに原価が多くかかっているか、現場ごとに見てみましょう。
原価を抑えることができれば、売上が変わらなくても粗利益率が上がります。

ただし闇雲にコストを削減すると、工期が伸びたり、現場作業の質が低下してしまうこともあるため、注意が必要です。

まとめ

ここまで解説してきたように、リフォーム会社の場合、売上が発生する場面では必ず原価が発生します。
そのため、粗利益を増やすには必ず原価管理が切っても切り離せません。
売上が増えていて大変な時期ではありますが、資金ショートが発生してしまう前に一度立ち止まって、利益が増えない原因を調べることをおすすめします。

他にも資金繰りがお困りの方に向けて、資金繰り改善のポイントについて解説しています。
あわせて参考にしてみてください。


 

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