売上は回収が大事!売掛金回転期間を理解して、資金繰りの悩みを解消しよう

目次

質問

私は工務店の法人を経営しています。ありがたいことに仕事はたくさんあって忙しい一方で、会社の資金繰りが悪く、お金のやりくりに日々駆け回っています。資金繰りを改善するために何かアドバイスをいただきたいです。

回答

仕事が多いのに継続的に資金繰りが苦しい場合、仕事の対価である売掛金の回収時期を見直してみることをおすすめします。

仕事が終わってもお客様がお金を支払ってくれないと、あなたの会社のお金は増えません。
その仕事に関わる人件費や諸経費の支払いがあるので、売上金が入っていない状態では会社のお金は減ってしまっているのです。

このように売掛金の回収にフォーカスすることで、あなたの会社の資金繰りを改善するキッカケになるかもしれません。

この記事では、資金繰りの面で売掛金回収の重要性について解説します。

売掛金とは何?

まず売掛金について説明します。
売掛金とは、あなたの会社がお客様に商品やサービスを提供した後で、もらうべき対価の支払いをまだ受けていない状態のその対価のことを指します。

ざっくり言うと、これはお金の「待ち時間」を表しています。
例えば、ある工務店がお客様の自宅をリフォームし、その対価が50万円だったとします。
工事が完了した日にはお客様から支払いを受けず、後日指定の銀行口座に振り込んでもらう場合は、その未受け取りの金額50万円が売掛金となります。

売上が発生しても、代金をもらうまではお金が増えないので、お金を受け取っていない状態は、お客様にお金を貸している状態と同じです。

そのため資金繰りを考える上では、いかに売上金をスムーズに回収できるかが大切です。
言い換えると、この売掛金を適切に管理することが、資金繰り(お金の出入りをスムーズにすること)に重要な役割を果たします。

売掛金回転期間の理解

売掛金回転期間とは?

次に、「売掛金回転期間」について説明します。

売掛金回転期間とは、売上を立ててからその売掛金が回収される(売上金が手元に入る)までの平均期間を指します。

先ほど売掛金の回収が資金繰りに重要な役割を果たしているとお話したので、なぜこの売掛金回転期間が重要なのか、お気づきの方も多いでしょう。

資金繰りを良くするために売掛金回転期間が重要な理由は、その回転期間が短いほど仕事の対価の現金化が早くなるためです。
反対に回転期間が長ければ長いほど、その分だけ会社の現金が手元に戻ってくるのが遅くなるからです。
まるで「出前を注文してから料理が届くまでの時間」が長いと、お腹が空いている間待たなければならないようなものです。

このように売掛金回転期間が長いと、お金の「待ち時間」が長くなり、結果として資金繰りが難しくなる可能性が高いです。
資金が滞ることで、取引先への支払いや従業員さんへの給与の支払いといった重要な部分に支障をきたすこともあります。

売掛金回転期間の計算方法

売掛金回転期間は、以下の計算式で求めることができます。

売掛金回転期間

売掛金回転期間(日数) = 売掛金 ÷ (年間売上高 ÷ 365日)

例えば、平均売掛金が100万円で年間売上が3650万円だとすると、

売掛金回転期間 = 100万円 ÷ (3650万円 ÷ 365日) = 約10日

つまり、ある商品やサービスを売ってから平均して10日後に売掛金が回収される、ということになります。

なお、売掛金回転期間を月数で計算する場合は、次の計算式になります。

売掛金回転期間(月)

売掛金回転期間(月数) = 売掛金 ÷ (年間売上高 ÷ 12月)

このように売掛金回転期間を知ることで、どの程度の期間、自社の資金が売掛金の形で「待ち時間」を持つかを把握することができます。

資金繰りが良くないと感じている場合は、一度あなたの会社の売掛金回転期間について計算してみることをおすすめします。
自社の資金繰りの状況を評価し、必要な対策を立てることができます。
もし売掛金回転期間を短縮することができれば、それだけで会社の資金繰りは改善されるでしょう。

売掛金回転期間は長期化しやすい

売掛金回転期間を短くすれば資金繰りが改善するとお話しましたが、なぜ売掛金回転期間が長期化してしまうのでしょうか?

考えられる原因として、次のようなものがあります。

  • 取引先の支払いが遅れる
  • 悪い条件で仕事を引き受けてしまう
  • 自社の請求が遅れる

取引先の支払いが遅れる

取引先の資金繰りが良くない場合、取引先から支払いを待ってもらうようにお願いされることはよくあります。
最初は相手のためを思って支払いを遅らせますが、それが当たり前になってしまい、その後の請求も期限内に支払われなくなってしまうことがあります。
相手の資金繰りを助けるために始めたことが、自社の資金繰りを悪化させる原因になりえます。
そうならないために、期限厳守や現金取引への変更、場合によっては取引の停止などの対策を検討しましょう。

悪い条件で仕事を引き受けてしまう

仕事を獲得するために、多少悪い条件でも仕事を引き受けることがよくあります。
最初は営業のために仕方がないですが、その後の取引でも一方的に悪い条件で仕事を振られ続けて困っているという方は多いのではないでしょうか。

その仕事を受けることで資金繰りが悪化しているのであれば、厳しく言うとその仕事は会社にとって有益ではありません。
もしこのようなお悩みをお持ちの場合は、取引先との条件交渉を行いましょう。
それでも条件が変わらない場合は、取引先の開拓に資金を投資するほうが会社にとって有益になる可能性が高いです。

自社の請求が遅れる

経理がいない会社(例えばひとり社長の会社など)の場合、仕事が忙しく、請求事務が後回しになってしまうことがあります。
目の前の仕事を片付けないと売上にならないため、請求事務のような残作業を後回しにしてしまいがちです。

しかし先述したように、売掛金を回収してはじめて仕事の対価がお金になります。
そのため、請求事務は残作業ではなく、仕事の対価をお金に変えるための重要な作業ということを忘れないでください。

先程の2つの原因は取引先に起因しますが、自社請求の遅れは自分自身に起因します。
自社の請求が遅れて資金繰りが悪化することがないよう注意しましょう。

まとめ

ここまで資金繰りを改善するために、売掛金の回収が大切であるということを説明しました。

売掛金の回収を早期化する対策としては、まずは取引条件の見直しを検討しましょう。
また、売掛金を早期に現金化する手段として、ファクタリング(売掛金を買い取ってもらうサービス)を利用するのも一つの方法です。

まずは売掛金回転期間が適切か、業界的に他社と比べて良いのか悪いのかなど、現状を確認するところから始めることをおすすめします。

こちらの記事でも資金繰りの改善方法について解説していますので、ぜひ参考にしてください。


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