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お客様ごとに売上債権の回収条件を見える化してみよう【資金繰りを改善するポイント】

突然ですが、あなたは売上があがっだけで満足していませんか?
その売上がお金として回収されるまで、あなたはちゃんと管理できていますか?
未回収の売掛金・受取手形が積み上がっていませんか?

資金繰りが悪い会社の特徴として、「売上が好調なのにお金がない」というケースがあります。
会計上は赤字が出ているわけではないのに、なぜか手元のお金が増えていない。

そのような会社の背景には、売上債権(売掛金や受取手形)の回収に問題があることがよく見られます。

モノを販売した時に会計上は売上があがりますが、売掛金の状態ではまだお金になっていません。
売掛金を回収してお金を手にすることで、商品仕入れなど次の事業活動に取り組むことができます。
売上代金が回収されてお金になってはじめて事業が成り立ちます。

売上代金の回収がされない状態が続いて手元のお金が無くなると、経営は成り立たなくなってしまいます。
そうならないためには、売掛金や受取手形などの売上債権の回収がとても重要なのです。

この記事では、売上債権の回収に関してお客様ごとに把握する方法や、回収サイトを改善するためのポイントについて解説しています。
会社の資金繰り改善に役立つ方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

売上が増えてもお金が増えない原因

「売上が増えているのに手元のお金は減っている・・・」
あなたはこのような経験はありませんか?

資金繰りが苦しい会社では、このような状況に陥っているケースがよく見られます。

資金繰りが厳しくなる原因のひとつに売上債権の回収があげられます。

売り上げがまだお金として回収できていない状態の債権のことで、売上債権には売掛金や受取手形があります。
どちらも会社間の信用をもとに将来の売上代金の回収を約束した債権です。

売上債権が現金化されないと、売上のお金が入らない状態が続くことになります。
もし多くの取引で売掛金や受取手形が積み上がってしまうと、手元のお金が増えない状態で次の支払いをしなければならないため、資金繰りの悪化を招いてしまいます。

売上が増加している状態で売上債権の滞留が発生すると、損益計算書では好調に見えてしまうため問題に気付かず、気が付いたときには資金ショートが発生しているということになるかもしれません。

とくに経営者が営業出身で経理が苦手という会社では、経営者が売上アップを追いかけて、売掛金の回収までは追いかけなかった結果、資金繰り難になるというケースもよく見られます。
そのため、売上債権の円滑に回収することが経営において非常に重要なのです。

売上債権の入りは早く

売上債権回収の考え方のポイントがあります。
「お金の入り早くする」ということです。

先述のとおり、売上債権はお金になってはじめて会社の売上になります。
もし売上が増えたとしても、売掛金・受取手形の状態のままでは、資金繰り上はまったく意味がありません。
むしろ、損益計算書上は好調に見えてしまうため、黒字倒産するリスクが高くなってしまいます。

債権回収を怠る会社ほど資金繰りに苦しんでいる傾向にあります。
売掛金や受取手形の現金化をいかに早くするかが、安定した会社経営を行うための重要なポイントになります。

顧客別ごとの特徴を把握する

まず、あなたの会社の取引先の回収サイトや特徴を把握することから始めましょう。

回収サイトを見直して資金繰りを改善しようとしても、実態が分かっていなければ手の打ちようがありません。

また売上債権回収の見直しは、自社の取り組みだけでは変わらない可能性が高いです。
相手(取引先・得意先)との合意決定が必要となるため、最初に顧客別の状況を整理することが必要です。

そこで取引先ごとに売上の回収状況を把握するため、顧客別の売上債権の回収条件管理台帳を作成することをおすすめします。
具体的には、取引先ごとに下記の項目を整理していきます。

  • 締日
  • 回収日
  • 回収サイト(締め日から回収までの日数)
  • 回収方法(現金、売掛金、受取手形 など)
  • 売上シェア
  • 粗利益率
  • 特徴(遅れやすい など)

具体的な表にすると、次のようなものになります。

顧客別の売上債権回収台帳のメリット

顧客別の売上債権回収台帳を用意することで得られるメリットがあります。
詳細について解説していきます。

メリット① 取引先ごとに条件を比較できる

取引先ごとの条件を見える化すると、次のようなチェックをすることができます。

・業界他社と比べて、自社の回収サイトは早いか(遅いか)?
・受取手形が売上債権の多くを占めていないか?
・条件どおりに回収されているか?
・条件が悪い取引先で売上シェアが大きいところはないか?
・売上シェアが大きく粗利益率が低い取引先はないか?
・回収が遅れやすい取引先はどこか?

回収条件の管理台帳をもとにチェックを行なうことによって、会社全体や取引先ごとの回収条件の有利不利を俯瞰的に把握することができるようになります。

把握した結果、もし業界他社と比べて全体的に不利な条件であれば他社よりも資金繰りが悪くなって当然です。
その場合は、会社全体で取引条件を見直さなければいけません。

もし一部の取引先で不利な条件があったとしたら、取引単価や回収サイトなどの見直しに関する交渉余地を取引先ごとに検討することができます。

このように取引先ごとに回収条件・利益率などを適宜管理することで、回収スピード向上や回収遅れを防止することが期待でき、ひいては資金繰り改善につながります。

メリット② 自社の最重点顧客が分かる

取引先ごとに回収条件・粗利益率などの良し悪しが管理できると、自社にとっての重要度が明確になり、お客様ごとに販売戦略などの対応方針が決めやすくなります。

例えば、同じ取引量で売上単価が大きいE社と、単価が小さいF社があったとします。
この条件だけで見て今後どちらを優先的に販売するかを考えるとすれば、おそらく売上金額が大きいF社を狙うでしょう。

では、E社とF社の回収サイトや粗利益率などの条件が次のような場合だったらどうでしょうか?

E社の取引単価が大きかったとしても、回収サイトが長く、粗利益率を見てもF社より条件は悪いことが分かります。
もしE社の取引量を増やして売上シェアが大半を占めることとなった場合、売上債権の現金化までの時間が長くなるため、資金繰りが悪化してしまう可能性がとても高いです。

今後の資金繰りまでを考えると、E社との取引を増やさないほうが良いと考える人も多いのではないでしょうか。

このように取引先ごとの条件が分かっていないと誤った経営判断をしてしまいます。
取引先別の管理台帳から取引先の重要度が明確になり、お客様ごとに今後の対応方針が立てやすくなります。

回収サイト改善のための対応策

管理台帳を作成すると、条件が悪い取引先や回収不能になるリスクがある取引先などが見えてきます。
回収サイトを改善するためには、具体的に以下のような対応策がおすすめです。

  • 取引条件の最低ラインを明確にし、最低以下の条件では取引しない。
  • 利益率が低い取引には単価交渉を検討する。
  • 受取手形の利用を控える。
  • 支払サイトより短い回収サイトになるように交渉する。
  • 回収リスクが高い取引先には、一部現金決済を取り入れる。
  • 滞納が発生している取引先は今後の取引を控える。
  • 入金期限に遅れやすい取引先には、期限前に電話で連絡を入れる。
  • 入金が遅れた取引先には、期限翌日にすぐに電話で確認する。

代金回収の電話連絡による催促はカンタンですがとても効果があります。
会社が資金繰り難に陥ってしまう前に小さなことから始めてみましょう。

まとめ

この記事では、取引先ごとに売上債権の回収条件などを管理する方法について、管理方法、管理するメリット、回収サイト改善のための対応策について解説しました。

売上代金が入金されてはじめて会社のお金を増やすことができます。
そのため、売掛金や受取手形などの売上債権の管理は、安定した資金繰りのために非常に大切です。

また売上債権を顧客ごとに見える化することで、お客様ごとの販売戦略などの経営判断にも役立てることができます。

ぜひあなたの会社の取引先ごとの回収条件を整理してみてはいかがでしょうか?

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