経営分析ができる損益計算書の作り方とは?【会社経営に役立つこと】

損益計算書の経費科目を適当に決めていませんか?

たまに、給料や減価償却費以外の経費をすべて雑費で処理している会社さんもいらっしゃいます。

勘定科目を変えても課税所得(≒利益)には関係ないため、税金に影響はありません。

しかし、決算書は経営のための大切なツールです。
損益計算書は、経営実態の把握や経営分析のため、会社の業績アップに向けた施策を決めるためにも必要不可欠なものです。
その損益計算書の作り方次第では、分析するための情報不足し経営に活かせません。

この記事では、経営に活用するための損益計算書の作り方として、勘定科目(経費科目)の細分化のすすめ、細分化する場合のメリット・デメリットについて解説します。
勘定科目を整えるだけで”使える”決算書になりますので、ぜひ参考にしてください。

目次

勘定科目を細かく分けるメリット

この記事での損益計算書の勘定科目とは、販売費および一般管理費(販管費)の経費科目のことを指しています。
では、販管費の科目を細分化することでどのようなメリットがあるのでしょうか?

経費科目を細分化することで、次のようなメリットが得られます。

  • 損益計算書を経営分析に使うことができる
  • 利益計画、経営計画の制度が上がる
  • 第三者が見ても明確な決算書を作成できる

経営分析のために使うことができる

損益計算書の経費科目を細分化することで、会社の経営実態の把握や経営分析に損益計算書を活用できます。

損益計算書は会社の1年間の成績(売上・経費・利益)をまとめた書類です。
会社は1年間でどんな活動をしたのか、その結果として利益を残すことができたかなどの経営実態を損益計算書から把握できます。

売上や売上原価や利益の部分からは会社の1年間の成績結果が、販管費の部分からは経営分析に必要となる詳細な情報が分かります。

また、損益計算書の科目同士の繋がりや前期比較の観点から、以下のような経営分析を行うこともできます。

  • 人件費の増減
  • 売上に対する人件費
  • 労働分配率(粗利益に占める人件費の割合)
  • 広告宣伝費の投資効果
  • 交際費の増減
  • 採用・教育への投資
  • 消耗品費(無駄な投資はなかったか)
  • 保険料の増減
  • ガソリン代の高騰具合

もし販管費の項目が分けられていなかったら、これらの経営分析を行うことは難しいでしょう。
もちろん会計帳簿から拾えば集計することは可能です。
しかしあとで集計するのなら、最初から勘定科目を細分化したほうが二度手間になりません。

そのため、損益計算書を経営に活かしたいと考えている場合には、経費科目を細分化しておくことをおすすめします。

利益計画、経営計画の精度があがる

安定した会社経営を行うために利益計画や経営計画などの将来的な計画が必要です。
計画がない会社は一喜一憂で、今年は税金が多かった少なかったで終わってしまいますが、計画があると計画に対する予定実績の確認や経営のふりかえりが可能です。

経営計画はただ単に作るだけでは意味がありません。
過去(今年)の結果を分析して計画を作る必要があるため、決算書の活用が必要です。

1点目のメリットで述べましたが、販管費を分けると実態把握・経営分析が可能となるため、経営分析内容をか通用した精度の高い利益計画、経営計画を作ることができます。

金融機関から見ても明確な決算書を作成できる

損益計算書の経費科目を細かく分けると、第三者から見ても分かりやすいというメリットがあります。

第三者の代表例は、銀行や信用金庫などの金融機関です。
金融機関から融資を受ける場合、決算書は融資の審査のための判断要素になります。

銀行員に自社の経営結果が伝わるように、分かりやすい損益計算書を心がけましょう。

勘定科目を細かく分けるデメリット

勘定科目を細分化することで、次のようなデメリットがあります。

  • 経理の事務負担が増える
  • 損益計算書が見づらい可能性がある

経理の事務負担が増える

勘定科目の数を増やすと、取引ごとに適正な勘定科目を考える必要があるので事務負担が増えます。

極端な話で経費科目が1種類しかなかった場合は全ての取引をその勘定科目1つで済みます。
一方で経費科目が20種類ある場合には、20種類の中から取引に適した勘定科目を選ぶ必要があります。

経理担当者が事業内容を把握して、請求書や領収書の中身を理解できれば大丈夫です。
しかし勤務時間が短いパートさんが経理事務を行っているなどの場合、詳細まで把握している方は多くはないです。
そのため、経理事務のコストが増えてしまう可能性があります。

損益計算書が見づらくなる可能性がある

先ほど経費科目を細分化することで、経営分析ができ、対外的にも分かりやすいメリットをお伝えしました。
そのため「経費科目を細かくすると見づらくなるの?」と思われた方がいるかもしれません。

経費科目が細かすぎると分かりにくいことがあります。
例えば、小さい金額の経費科目がたくさん並んでいるような場合です。

見る箇所が増えるし、金額が小さい科目を細分化にしても経営分析にもあまり効果はありません。

販売費及び一般管理費の勘定科目が少なくなればなるほど損益計算書の見た目はスッキリします。
一方で勘定科目が少なすぎると内容が分からないため、会社の実態把握や経営分析には不十分です。
そのため会社のやりたいことに合うように、適度に細分化するのが良いでしょう。

勘定科目のまとめ方の例

損益計算書を細分化すべきとお伝えしましたが、ただ細かくするのでありません。
自社の経営分析を行いやすいような形にしましょうということです。

例えば以下の項目は、経営分析で必要ですし、売上・利益アップの施策を考えるためにも活用しますので、独立した勘定科目として作成した方が良いです。

  • 仕入(売上原価)か販管費か
  • 人件費(役員報酬・給与・賞与)
  • 広告宣伝費、販売促進費
  • 交際費
  • ガソリン代(車両費、燃料費)

一方で細かすぎる代表例は「消耗品費」「事務用品費」です。
よっぽど文具などの事務用品を購入する会社で無い場合、事務用品費は年間でも数千円程度。
また備品ごとに「消耗品費」か「事務用品費」か考えるのは手間ですし、どちらにしても経営分析には影響ありません。

実態を把握したい部分や経営分析に必要な部分に集中して、勘定科目を設定することをおすすめします。

まとめ

この記事では、損益計算書の販売費および一般管理費の中の勘定科目(経費項目)に関して、細分化のすすめや細分化する科目の例について解説しました。

決算書は、自社の経営実態の把握から経営分析まで行ない、その結果を経営に活かすための無くてはならないツールです。
しかし損益計算書の作り方次第で、適切に分析することができません。

経費の勘定科目については、どの費用をどの勘定科目にするか、会社で自由に決めることができます。
そのため自社に適した勘定科目を適用して、経営に活用してくださいね。

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