質問
売上は順調に伸びているはずなのに、なぜか手元の資金がいつもカツカツで、給与や外注費、税金の支払い時期になると頭が痛くなります。急な出費に対応できず、ヒヤリとすることも少なくありません。
「黒字倒産」という言葉も聞きますし、このままでは安心して経営に集中できません。会社の資金繰りを安定させ、キャッシュに余裕を持たせるには、具体的に何をすれば良いのでしょうか?
回答
「なぜか、いつも手元にお金がない…」 「売上はあるのに、支払いが苦しい…」
多くの中小企業の社長様が、このような悩みを抱えています。
でも大丈夫です。資金繰りは、いくつかの簡単なコツを知るだけで、改善できます。 この記事では、難しい専門用語は使わず、「会社の現金をどう増やすか」に絞って、今日からできる7つの方法をご紹介します。
ポイント1:お金の流れを「見える化」する
まずやるべきことは、お金の出入りをすべて書き出すことです。 これを「資金繰り表」と呼びますが、難しく考える必要はありません。お小遣い帳の会社版だと思ってください。
なぜお金の流れの「見える化」が必要なのか?
会計上の利益と、手元にある現金は一致しません 。商品が売れた時点(利益発生)と、代金が入金される時点(現金増加)には時差があるからです。このズレを把握しないと、黒字なのに倒産する「黒字倒産」に陥る危険があります 。
どうやってお金の流れを「見える化」するか?
たったこれだけで、毎月何に使っているか、今後いくら必要になるかが分かり、早めに手を打てるようになります。
- ノートとペン、またはExcelを用意します。
- 先月の通帳を見て、入金と出金をすべて書き出します。
入金: 売上の入金、借入など、
出金: 仕入れ、給与、家賃、経費、返済など - 今月と来月の予定も、同じように書き出します。
ポイント2:入金は「早く」してもらう
会社の現金は、売上代金が入金されて初めて増えます。 そのため1日でも早く入金してもらう工夫が大切です。
- 請求書は、仕事が終わったらすぐに出す。
→「月末まとめ」は、入金を遅らせるだけです。1日でも早く請求することで回収が早くなります。 - 入金が遅れている取引先には、すぐに連絡する。
→いつか払ってくれるだろうと待っていては入金されません。「お忘れではないでしょうか?」と一本電話を入れるだけで大丈夫です。 - 新規契約では短い入金サイクルをお願いする。
→ 「月末締め・翌月末払い」を基本に交渉しましょう。
ポイント3:支払い内容と支払い方法を見直す
出ていくお金を減らし、支払いのタイミングを工夫するのも重要です。
- 本当に必要な経費か、毎月見直す。
→使っていないのに払い続けているサービスはありませんか?(例:ソフトウェア、ウォーターサーバーなど) - 支払いはクレジットカードを活用する。
→カード払いにすれば、実際の引き落としが1〜2ヶ月先になり、そのぶん手元の現金に余裕が生まれます。
ポイント4:在庫は「寝ているお金」と考える
特に物販や製造業の場合、在庫=寝ているお金です。 長期間売れない在庫は、会社の現金を圧迫します。
- 定期的に在庫の数をチェックする。
→何がどれだけあるか把握することが第一歩です。 - 売れない商品は、値下げしてでも現金に換える。
→価格を下げて販売したり、処分したりして、少しでも現金化しましょう。保管しておくための倉庫代もコストです。
ポイント5:税金の支払いを「計画的」に
税金は金額が大きいうえに不定期に発生するため、資金繰りを大きく悪化する要因のひとつです。納税時期になって慌てないよう、予め準備しておきましょう。
- 決算が締まる前に、利益予測を立てて予め納税額を確認しておく。
→1~2か月前に納税額を把握しておけば、納税資金を準備できるため、直前になって慌てることはありません。 - 納税資金は、別の口座に毎月少しずつ積み立てておく。
→不定期に運転資金から納税資金を捻出することが資金繰りを悪化します。税金を毎月の固定費(積み立て)にすれば急にお金が減ることはありません。
まとめ
資金繰りの改善は、難しいことではありません。 今回ご紹介した5つのポイントを、できることから一つずつ試してみてください。
- お金の流れを「見える化」する
- 入金を早くしてもらう工夫をする
- 支払い内容と支払い方法を見直す
- 寝ている在庫(お金)を現金化する
- 税金の支払いを計画的に準備する
もし途中で分からなくなったり、より詳しく知りたくなったりした場合は、いつでもお気軽にご相談ください。
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