法人設立にあたり決めなければいけないことが多くあります。
決算月はそのひとつ。
3月決算が多いからといった理由で3月にしたり、誕生日(記念日)だからといって決算月を決めていませんか?
後で後悔しないように、この記事では、決算月を決めるための考え方について解説します。
決算月について迷っている方必見です。ぜひ参考にしてくださいね。
別記事では会社名(商号)の決め方について解説しています。
会社設立に関する理解がさらに深まりますので、あわせて確認してみてくださいね。
決算期とは?
まず、決算期について説明します。
家電量販店やインテリア家具店などで「決算セール」が開催されているため、決算という言葉はよく耳にすると思います。
会社は、事業年度(通常は1年間)ごとに儲かっているかを計算します。
事業年度の最後には財産・損益を確定させ、決められた期限までに税金を支払わなければいけません。
この事業年度ごとに会社の財産・損益を確定させることを「決算」と言い、決算月とは事業年度の最終月のことを言います。
つまり決算月を決めるとは、会社の締めを何月にするかを決めることです。
決算月の決め方
それでは決算月はいつにするのが良いでしょうか?
もちろん会社や社長を含めた従業員さんの事情によって人それぞれなので、絶対この月が正解!というものはありません。
しかし、一般的に決算月を選ぶ際に気にするべき点がありますので、ポイントを4つご紹介します。
繁忙期を避ける
1つ目は繁忙期を避けることです。
繁忙期とは1年で1番忙しい時期です。1番忙しい時期なので、言い換えれば最も売上が伸びる時期、利益が出やすい時期と言えるでしょう。
決算月を選ぶ場合、繁忙期を避けることをおすすめします。
理由は、利益の着地予測や税金の予測をしにくく、節税対策が思うようにできない可能性があるためです。
繁忙期は1番忙しく1番利益が大きくなる月です。
繁忙期の売上が毎年同じ金額であれば、シミュレーションも難しくないでしょう。
しかし会社は毎年成長しています。そのため、どれくらい売上が伸びそうか、利益が出そうかといった予測は正直難しい。
決算の着地が予想できない状態では、納税予測は難しいです。
さらに不透明な状態での利益シミュレーションによって節税対策をした結果、思っている利益が出ずに赤字決算になったり、または予想以上の利益が出て、節税対策が足りず税金の金額が大きかったりと、このようなことが起こってしまいます。
また、繁忙期は目の前の作業で忙しく、先のこと(節税対策のこと)は後回しになりがちです。
それに稼ぎ時なのに、税金のことを考えて売上を抑えたりするのも、経営的な観点から何か違いますよね。
そのため、しっかりとした利益予測や納税のシミュレーションを踏まえ、節税対策にゆっくり時間を取れるように、閑散期(忙しくない月)を決算月にすることをおすすめします。
手元資金に多い月を選ぶ
2つ目は、資金が手元に多くある月を選ぶという考え方です。
その理由は、納税資金を確保するためです。
決算月から2ヶ月以内に、決算で集計した利益から計算した税金を支払わなければいけません。
だいたい法人税で利益の30~35%のため、仮に100万円の利益なら、30~35万円の法人税を支払います。
そのため、税金の支払いでお金が減ってしまうことに備えて、資金繰りの観点からも手元資金が多くなりやすい時期を選ぶのが望ましいです。
支払いのスケジュールに合わせて選ぶ
3つ目は、法人税等以外の支払いスケジュールをもとに決める方法です。
なぜなら、2つ目の選び方に近いですが、支払いが重なって資金がショートすることを避けるためです。
法人税等以外にも、会社では次のようにいろいろな支払いがあります。
- 源泉所得税の納税(1月、7月)
- 賞与(ボーナス)の支払い
- 労働保険の支払い(7月、10月、1月) など
お金が足りず支払いができないと、税金や労働保険はペナルティの罰金がかかりますし、ボーナスが支払えないと従業員は辞めてしまうかもしれません。資金不足になる可能性がないように決算月を選びましょう。
消費税の節税を考えて選ぶ
4つ目は、消費税免税事業者(消費税を納めなくてよい人)の特典を最大限に活用できるように決算月を決める考え方です。
資本金が1,000万円未満であれば、1期目、2期目は消費税の免税事業者となります。(課税事業者の選択、特定期間の判定などで納税義務が発生する可能性もあります)
つまり、1期目、2期目ともに1年間の期間があれば、最大で2年間は消費税の免税事業者の恩恵を受けることができます。
そのため、設立1期目は設立月を含めて12ヶ月目が決算月となるようにします。(例えば、9/10設立なら8月決算)
これにより消費税を納めなくて良い期間が長くなるため、税金を抑えることができます。
(※)ただし令和5年10月からのインボイス制度の導入により、免税事業者だと取引に影響が出るケースもあります。
決算期は後で変更することができる
これまで決算月を選ぶ方法を説明しました。
その内容を踏まえて決算月を決めたとしても、将来の状況次第では「決算月を変えたい」と思うこともあるでしょう。
もし決算月を変えたくなったら、以下の手続きによって決算月を変更できます。
- 株主総会の特別決議で承認を得る
- 定款を変更する
- 税務署等への異動届を提出する
登記の手続きは?と思われるかもしれませんが、決算月(事業年度)は登記事項ではないため、登記変更の手続きは必要ありません。
まとめ
この記事では、会社設立にあたっての決算期を決めるための考え方や、変更の手続きについて説明しました。
決算期を後から変えることができるといっても、何度もころころ変更するのは、対外的(取引先、銀行、税務署等の役所)に良くないです。
そのため、慎重に決算月を選ぶようにしましょう。
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