争族にならないよう残される家族のために遺言をおすすめします

もしあなたがお亡くなりになったら、あなたの財産は遺産としてご家族等の相続人に配分されます。

原則として、どの相続人がどの遺産を受け取るかについて、相続人間で話し合って決めることになります。
相続人同士で話し合って遺産を配分先を決めることを「遺産分割協議」と言います。

土地・建物の相続後の所有者変更にかかる登記や、亡くなった方の銀行預金の引き出しは、この遺産分割協議が決まらなければ行うことができません。

ですので必ず遺産分割を行う必要があります。
しかし、相続人それぞれ相続に対して考えていることが異なるため、簡単に話がまとまらないことが多いです。
なぜならお亡くなりになる方が高齢の場合、子供である相続人は既に家庭を持っていることが多く、いくら子供・兄弟といっても生活レベルや価値観が様々です。

例えば、このように相続人それぞれで想いはバラバラです。
・株式を相続したい。
・同居しているため、土地と建物を相続したい。
・子供の養育資金が大変だから、なるべくお金を相続したい。

このような状況のため、場合によっては相続人間の争い(争族)になってしまう恐れもあります。

この記事では、もしあなたがお亡くなりになった後に相続人同士で争族にならないようにする方法として「遺言」について分かりやすく整理しています。
ぜひ参考にしてみてください。

目次

遺言がない場合に起こりうる問題

遺言があれば、遺言に従って遺産(相続財産)の分割が行われます。
一方で遺言がない場合には、相続人間で話し合って遺産分割協議を行います。
相続人間ですんなり話がまとまれば問題ありませんが、もし分割方法について難航する場合でも根気よく話し合って分割方法をまとめなければいけません。

それでは、もし相続人の間でどうしても遺産の分割協議がまとまらない場合はどうなるのでしょうか?

争族に発展し、当事者同士で話し合うことができないような状態になってしまった場合には、弁護士を通して話し合ったり、それでも難しいときは家庭裁判所に申し立てて調停を行います。
家庭裁判所の調停とは、裁判所を通した話し合いのことを言いますが、これでも話がまとまらない場合には、家庭裁判所による審判が行われます。
家庭裁判所の審判とは、遺産分割について家庭裁判所に決めてもらうと言うことです。

このような流れで、最終的には弁護士や家庭裁判所を通して遺産分割をまとめることはできると思いますが、争族によって相続人間の関係は崩れてしまうケースがあります。

あなた自身もそのような状況を望まれている方はいないと思います。
そのため、お亡くなりになった後の相続人間のトラブルを避けるためにも、遺言と言う形であなたの意思を残すことをおすすめします。

遺言書を作るメリット

遺言書を残すメリットとして、次の5つがあります。

  • 誰にどんな財産を残すか、自分の思いを法的に残すことができる。
  • 遺言書をもとに遺産分割を行うため、相続財産をめぐる相続人間の争いを防止できる。
  • 生前にやれなかった手続きができる。(子の認知など)
  • 相続人以外の方に財産を残すことができる。(内縁の妻、子供の配偶者、お世話になった方)
  • 残された家族の面倒を見させる指示ができる(条件付き遺贈)

また、遺言書と似たものとして「遺書」があります。
どちらもお亡くなりになる方が残される家族や大切な人へ意思を残すものですが、法的効力の有無が両社の決定的な違いとしてあります。
遺書は法的効力がなく、遺言書には法的効力があります。

そのため、せっかく相続でもめないように書いたのに、まったく(法的)効力がないということにならないように両社の違いを十分に理解したうえで作成するようにしましょう。

遺言書を残す際の注意点

遺言書を作成するうえで必ず知っておかなければならないのが、遺言の要件です。

➀遺言書の全文、遺言の作成日付及び遺言者氏名を必ず遺言者が自書し、押印する。

➁自書ではない財産目録が添付されている場合、全てのページに署名、押印する。

➂書き間違った場合の訂正や、内容を書き足したいときの追加は、その場所が分かるように示した上で、訂正又は追加した旨を付記して署名し、訂正又は追加した箇所に押印する。

引用:東京法務局

この要件は民法で定められており、要件を満たしていないと遺言書のして無効になってしまう恐れがあります。

また作成方法以外でも、作成した遺言が紛失してしまったり、適切な開封の手続きが行われなかったりして、いざ相続が起こった場合に使えなくなってしまうことも考えられます。

そのため、遺言を準備する際には作成方法だけでなく、その後の保管方法についても十分に検討する必要があります。

オススメは公正証書遺言

遺言には次の3つの種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

上記のうち、最も手軽に作成できるのは、自筆証書遺言です。
自筆証書遺言は自分1人ですべて作成することができるため、簡単に手っ取り早く作りたい場合にオススメです。
しかし、自分1人で作成できる手軽さの反面、注意点を十分気を付けて作成しなければ遺言が無効になってしまうリスクがあります。

このような不安がある場合には、公正証書遺言をおすすめします。
公正証書遺言は、公証役場に行って、財産をどのように残したいのかなどの自分の意思を告げると、公証人がその意思に沿って遺言を作成してくれます。
公証人は法律の専門家のため、遺言の書き方に誤りがあって遺言が無効になるということはまずありえません。
また公正証書遺言の原本は公証役場に保管されますので、遺言が紛失したり、相続人によって遺言を書き変えられたりという心配もありません。

遺言の代表例である自筆証書遺言と公正証書遺言について、それぞれのメリット・デメリットは次のとおりです。

自筆証書遺言のメリット

・手軽に作成できる(いつでも作成・書き直しができる)
・費用がかからない(紙とペンがあれば作成できる)
・遺言者1人で誰にも知られずに作成できる(証人が不要)

自筆証書遺言のデメリット

・書き方を調べる手間がかかる
・ルールに従っていなければ遺言自体が無効になる恐れがある
・紛失・改変・偽造・隠ぺいされる恐れがある

公正証書遺言のメリット

・法律の専門家である公証人が作成するため、書き方を知らなくても作成できる
・公証役場で保管されるため、紛失や改変の恐れがない。
・家庭裁判所の検認が不要

公正証書遺言のデメリット

・公証人への手数料がかかる。(相続財産の価格によって変動)
・証人2名の立会いが必要になる。(遺言の内容が証人に知られる)
・口述できれば、字が書けなくても作成できる。

それぞれ良し悪しはありますが、遺言を残す目的は相続人同士のトラブルを避けることや、自分が考えているとおりに財産を残すことです。
例えば費用を抑えるために自身で自筆証書遺言を作った結果、記載内容・署名押印などのミスで遺言が無効になっては意味がありません。

そのため、確実に残すために「公正証書遺言」をおすすめします。

まとめ

この記事では、遺言がない場合に相続で起こりうる問題と、その対策としての遺言のすすめについて整理しました。

相続(遺産分割)は一生に何度もあることではないため、誰しもあまり経験がありません。残されるご家族はそれぞれ家庭を持っていて、皆それぞれの事情があるため、些細なことから「相続」が「争族」になってしまう可能性があります。

そうならないよう残される家族のためにも、生前に遺言という形で意思を残しておきましょう。

遺言の準備をご検討の場合や作成についてお困りの場合には、専門家に相談することをおすすめします。


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