あなたの会社では、手元のお金をいくら準備していますか?
手元の預貯金残高がいくらあればよいのか、その目安を持っていますか?
最近ではコロナウイルス感染症の影響やロシアの戦争の影響によって、資金繰りに苦しむ会社が増えています。
会社経営において、お金はとても重要です。
お金が無くなったときに、企業は事業活動を行なうことができなくなって倒産します。
そのため、お金は会社の事業を存続するための生命線であるといっても過言ではありません。
「お金が必要なのは分かった。じゃあいくら置いておく必要があるのか?」
もしかしたら、あなたは今このような疑問をもったかもしれません。
今回は会社経営で重要なお金について、会社の手元資金残渣化の目安とお金を増やす方法について解説します。
お金の残高の目安が明確でないと、不安定な会社経営にになりがちです。
この記事を読み終える頃には、お金の具体的な目標が明確化されて資金繰りの改善が期待できますので、ぜひ最後まで確認してみてくださいね。
手元のお金はいくら必要か?
手元のお金とは、会社の現預金のことを指します。
会社経営をするうえでお金がなくなると支払いができなくなって会社が傾いてしまいます。
そのため、会社の現預金は十分に持っておく必要があります。
それでは、あなたの会社はいくらの現預金があれば足りるのか、基準をお持ちでしょうか?
この質問に対して明確な答えが返ってくる経営者はあまり多くありません。
会社の現預金残高の目安を決めるうえで、次のような基準があります。
- 月商
- 運転資金
- 経常支出
それぞれについて解説します。
月商で見る方法
手元のお金は、一般的に月商の2〜3ヶ月分を持っておくべきとよく言われます。
なぜ月商をベースに考えるのかというと、翌月の経費の支払額が月商と同等(以下)になることが多いためです。
一般的な会社は営利を出すことを目的に事業活動を行なっているため、通常の事業取引で赤字になることはありません。
もちろん結果的に赤字になってしまうことはありますが、最初から赤字にする目的で取引をする人はまずいないでしょう。
例えば、月商が500万円の会社の場合を見てみましょう。
月商500万円が利益を出すには経費を500万円以下に抑える必要があるため、翌月の経費の支払いは500万円以下になることが多いです。
月商500万円の会社が翌月に1億円を払うことはまず無いし、反対に月商1億円の会社が500万円の支払いになることもまずありません。
どの会社も大体月商に近い金額(以下)のお金を翌月に支払うことが通常なのです。
このことから考えると、手元のお金が月商の1ヶ月分以上あれば、仮に今月の売上金が無かったとしても手元のお金で翌月の支払いを行うことができます。
ただし月商1ヶ月分では自転車操業のため、何かあるとたちまち資金ショートしてしまう可能性が高いため、2ヶ月分以上の残高がおすすめです。
また会社の売上債権の回転期間でも、月商何ヶ月分の目安が変わります。
- 売上債権の回転期間とは?
- 売上債権の回転期間とは、売掛金や受取手形が締日から何ヶ月後(何日後)に回収されるのかといったような売上債権が現金化されるまでの期間のことです。
現金商売が中心の業種(飲食店など)であれば、月商1ヶ月分でも問題ないかもしれないが、回収まで2ヶ月以上と回転期間が長い業種(建設業など)であれば1ヶ月分では足りません。
そのため、まずはあなたの会社の売上債権の回転期間を把握したうえで、月商2~3ヶ月は手元にお金を残しておきましょう。
運転資金で見る方法
次は運転資金から必要な手元資金額を求める方法です。
前述した月商を基準にすると、場合によっては過剰に手元資金を持ってしまうかもしれません。
なぜなら事業内容や業種によって会社ごとに必要な運転資金の金額が違うためです。
- 運転資金とは?
- 商品の仕入れや毎月の支払いなど、会社の事業活動を維持するために必要な資金のことをいいます。
運転資金は次の算式で計算することができます。
- 運転資金の計算式とは?
- 運転資金= 売上債権(売掛金、受取手形)+ 在庫 − 支払債務(買掛金、支払手形)
運転資金が不足(ショート)すると、会社は事業活動を行えなくなってしまいます。
そのため、手元のお金は必要な運転資金をふまえて考えなければいけません。
月商ベースの考え方と運転資金ベースの考え方でどのような差が出るのか、事例を見てみます。
例えば、月商がどちらも1000万円のA社とB社があります。
(A社)月商1000万円、売上債権800万円、在庫300万円、支払債務700万円
(B社)月商1000万円、売上債権2000万円、在庫600万円、支払債務1000万円
この場合、月商3ヶ月分が必要とすると、どちらの会社も3000万円(=月商1000万円×3)が必要ということになります。
次に運転資金で考えてみます。
A社の運転資金は次のように計算することができます。
A社の運転資金 800万+300万−700万=400万円
次にB社の運転資金を計算してみます。
A社の運転資金 2000万+600万-1000万=1600万円
A社とB社の運転資金を比べると、なんと4倍の差があることが分かりました。
もしA社が月商3ヶ月分の3000万円の現預金を持っていた場合、運転資金の約8ヶ月分を保有していることになり、必要資金額に対して過大です。
一方でB社の場合には、運転資金の2ヶ月未満であるため、安定した会社経営という点でいうと少し心許ないです。
このように運転資金は会社ごとに違います。
まずはあなたの会社の必要な運転資金額を把握したうえで、手元の現預金残高の目標を立てることが必要です。
毎月の経常支出額から求める
次は、毎月の経常支出額から求める方法です。
この方法は毎月の支払いが約500万円であれば、2~3ヶ月分の1000~1500万円を手元に置いておくべきという考え方です。
もし売上の入金がなかったとしても、2~3ヶ月分の経常支出分を持っていれば会社は翌月の支払いを行なえるため、すぐに資金ショートすることはありません。
しかし、この考え方には注意が必要です。
なぜなら、経常支出には変動費(売上の増減によって変動する費用)が含まれるため、売上が増加傾向にある状況では経常支出額も増加します。
そうすると、想定以上の支出が必要となって資金不足に陥る可能性があるのです。
そのため、経常支出を基準とする場合には、直近の経常支出が予想できることが必要となります。
以上の3つの基準について解説しました。
事業内容や売掛金買掛金のサイトなど会社ごとに状況は違いますので、どの基準が会社に合っているか検討しましょう。
お金を増やす3つの方法
会社の現預金残高が目安金額に届いていない場合には、手元のお金を増やすための行動が必要です。
手元のお金を増やす方法は次の3つがあります。
- 利益を蓄積して増やす
- 固定資産を現金化して増やす
- 銀行から借りて増やす
利益を蓄積して増やす
利益を蓄積してお金を貯めるやり方が、最もスタンダードな方法です。
しかし必要なお金が貯まるまで時間がかかるため、利益の蓄積だけではすぐにお金を増やすことが難しいです。
例えば、2000万円を貯める必要があったとします。
毎年の税引後当期純利益が500万円の会社があった場合、2000万円分が蓄積されるまで4年かかります。
仮に1年で貯めようとした場合には、税引後当期純利益2000万円と考えると税引前で3000万円の利益が必要です。
月商1000万円の会社で税引前利益3000万円はかなり難しいでしょう。
固定資産を現金化して増やす
車や備品などの会社が保有する固定資産を売却することで現預金を増やす方法です。
売却できる固定資産があれば、利益で蓄積するよりも早く手元のお金を必要額まで近づけることができます。
また不要資産や遊休資産を処分することで、決算書が整理され、経営資源を有効活用できるメリットがあります。
現金化できる資産を持っていなかったり、売却資産の価値が低く売却額が希望に満たなかったりと、思うようにお金を増やすことができない可能性があります。
銀行から借りて増やす
銀行や信用金庫から融資を受けて手元のお金を増やす方法です。
「利益を蓄積する方法」や「固定資産を現金化する方法」の2つと比較すると、最も早くお金を増やすことができるというメリットがあります。
ただし、必要な金額までしかお金を増やすことはできません。
決算書や会社の状況から、会社にお金がどれくらいあれば足りるのか、銀行員には会社の必要資金が分かります。
そのため、会社の手元の現預金残高があといくらあれば足りるのかを精査して、融資の申し込みをしましょう。
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まとめ
この記事では、会社が安定した経営を行うために手元のお金はいくら持つべきか、預貯金残高の目安の考え方やお金を増やす方法について解説しました。
今後もコロナウイルス等のように外部要因で経営が悪化するリスクは否定できません。
もし経営が悪化しても、お金さえあれば乗り切れる可能性が高まります。
手元残高に不足がないか確認し、手元の資金を厚くして今後起こりうるリスクに備えましょう。
弊社の顧問契約(継続支援サポート)では、会社の財務状態・損益状況のご説明から経営・資金繰りに関する提案などを「分かりやすく」「丁寧に」お話させていただきます。
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他にも会社が行うべきお金の増やし方について解説していますので、あわせて参考にしてください。
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